筋肉は、使わなければ驚くほど早く衰えます。

寝たきりの状態になると、筋肉量だけでなく、筋力も速いペースで低下することがあります。

これを知ったとき、ふと思いました。

では、脳はどうなのか?

今はAIに聞けば、かなりのことを瞬時に答えてくれます。

文章を書いてくれる。
アイデアを出してくれる。
調べものをしてくれる。
複数の商品やサービスを比較してくれる。

場合によっては、

「どちらを選ぶべきか」

という判断までしてくれます。

ものすごく便利です。

私自身、AIを使わない日はほとんどありません。

しかし、便利だからこそ、気をつけなければならないことがあります。

「自分で考える」という作業まで、AIに任せていないか?

ということです。

■ 筋肉と脳には共通点がある

筋肉は、使えば刺激が入り、使わなければ衰えていきます。

脳も筋肉とまったく同じ仕組みではありませんが、似た性質を持っています。

脳には「神経可塑性」があり、繰り返し使う神経回路は強化されていきます。

逆に考えれば、

・自分で考える
・記憶から思い出す
・複数の選択肢を比較する
・仮説を立てる
・間違いに気づく
・最後に自分で決断する

こうした行為をしなくなれば、その能力を使う機会そのものが減ってしまいます。

これは、AI時代だからこそ考えておくべき重要な問題です。

■ AIを使うと頭が悪くなるのか?

私は、AIを使ったからといって頭が悪くなるとは思いません。

問題は、AIを使うことではなく、

「AIをどのように使うか」

です。

たとえば、何か問題が起きたときに、

問題を見る

まず自分で考える

AIに意見を聞く

自分の考えと比較する

AIの回答を疑ってみる

最後は自分で決める

このような使い方なら、AIによって思考の幅を広げられます。

自分一人では思いつかなかった視点や、見落としていた選択肢を得られるからです。

一方で、

問題を見る

すぐにAIへ聞く

出てきた回答を読む

そのまま採用する

この流れを何年も繰り返したら、どうなるでしょうか。

少なくとも、自分で考える「機会」は確実に減っていきます。

AIが思考力を直接奪うというよりも、自分で考える回数が減ることで、思考力を鍛える機会を失ってしまうのです。

■ AIは「脳の代わり」ではなく「脳の補助装置」

私はAIを、自転車の電動アシストのようなものだと思っています。

自分でもペダルを漕ぎながら使えば、今まで行けなかった場所まで行けます。

速く走れる。
遠くまで行ける。
急な坂道も登れる。

しかし、自分では一切ペダルを漕がなくなったらどうでしょうか。

便利になった代わりに、自分の脚を使う機会は減ってしまいます。

AIも同じです。

AIに考えてもらうことと、AIと一緒に考えることは違います。

ここを間違えてはいけません。

AIが出した答えを完成品として受け取るのではなく、自分の考えを深めるための材料として使う。

この使い方ができれば、AIは人間の思考力を奪うものではなく、思考力を拡張する強力な道具になります。

■ これから価値が上がるのは「答えを知っている人」ではない

以前は、知識をたくさん持っていること自体に大きな価値がありました。

しかし、AIが大量の知識を瞬時に提示してくれる時代では、知識量だけでは差がつきにくくなります。

これから重要になるのは、

「その答えは本当に正しいのか?」

と考えられる人です。

さらに、

「その答えを、自分の場合はどう使うのか?」

を判断できる人です。

AIがどれだけ進化しても、

・何を目指すのか
・何を大切にするのか
・どのリスクを取るのか
・最後に何を選ぶのか

こうした部分まで全部AI任せにしてしまったら、それは単に便利になったという話ではありません。

自分の人生の意思決定まで、AIへ外注していることになります。

AIは、過去の情報や一般的な傾向をもとに答えを出してくれます。

しかし、自分が何を幸せと感じ、どのような人生を送りたいのかまで、AIが決めてくれるわけではありません。

■ 筋肉も脳も、使うことをやめない

AIは使った方がいい。

私はそう思っています。

これほど強力な道具を、わざわざ使わない理由はありません。

ただし、

AIを使って自分の頭を使わなくなるのではなく、AIを使って今まで以上に自分の頭を使う。

これが大切です。

筋肉は、使わなければ衰えます。

脳も「考える機会」を失えば、その能力を鍛える機会を失ってしまいます。

だから私は、これからもAIを使います。

ただし、AIから答えが返ってきたときに、

「なるほど」で終わらせない。

「本当にそうなのか?」
「反対の意見はないのか?」
「ほかの考え方はないのか?」
「自分の場合はどうするのか?」

この一手間を残しておく。

AIがどれだけ賢くなっても、

自分で考えることだけは手放さない。

それがAI時代を生きる人間にとって、大切な習慣なのではないでしょうか。

動画:https://youtu.be/o1rq6Lr4iSk