組織を離れたとき、私には完成された計画などありませんでした。

「次はこの事業を始めて、何年後までにこの規模にする」

そんな格好いい未来図があったわけではありません。

正直に言えば、これから何をするのか、自分でもよく分からない状態でした。

それでも、株式会社レッドタートルを再始動させました。

止まったまま考え続けるより、分からないなりに動き始めた方がいいと思ったからです。

会社という組織の中で、私はさまざまな壁にぶつかりました。

自分の考えだけでは進められないこと。

正しいと思うことが、そのまま通るわけではないこと。

立場や人間関係によって、判断が変わること。

組織に所属したからこそ学べたこともあれば、組織の中にいるからこそ見えなくなったものもありました。

そして2021年3月、私は再び個人として歩き始めました。

「独立」と聞くと、自由で前向きなイメージがあるかもしれません。

しかし、実際には自由になった瞬間、誰も進む方向を決めてくれなくなります。

今日は何をするのか。

誰と仕事をするのか。

どこから売上をつくるのか。

その判断も、その結果も、すべて自分の責任です。

何も決まっていない状態は、可能性にあふれている一方で、とても不安なものです。

このままで大丈夫なのか。

選んだ道は間違っていないのか。

もっと準備してから動くべきではないのか。

当然、そんなことも考えました。

けれど、どれだけ考えても、動かなければ答えは出ません。

最初から正解の道が見えていたわけではなく、一歩進んでみて、違うと思ったら修正する。その繰り返しでした。

成功したから動けたのではありません。

自信があったから再出発できたのでもありません。

何も分からないままでも、今日できることを一つ始めただけです。

私たちは何かを始めるとき、立派な計画や確信が必要だと思いがちです。

しかし現実には、始める前からすべて分かっている人など、ほとんどいません。

「準備が整ったら始めよう」

そう考えているうちに、何年も過ぎてしまうことがあります。

準備は、動きながらでもできます。

方向は、進みながら修正できます。

必要な人とも、動いた先で出会えます。

組織を離れたあの日、私の未来は白紙でした。

でも、白紙だったからこそ、もう一度、自分で描き始めることができました。

人生を変える再出発は、必ずしも自信に満ちた一歩ではありません。

よく分からないまま踏み出す、少し頼りない一歩かもしれません。

それでも、その一歩を出した人にしか見えない景色があります。

次に何をすればいいか分からないなら、未来のすべてを決めようとしなくても大丈夫です。

まずは今日、自分にできることを一つだけ始めてみる。

再出発とは、そこから始まるものだと私は思います。

動画:https://youtu.be/x7rCweZVVlI